菱和殿には渡辺隆次画伯揮亳による総数120枚(内、4枚は「風」「林」「火」「山」の文字、2枚は「日輪」「月輪」と称する花菱の武田神社御神紋)の天井画が納められています。甲斐八珍果をはじめとして、県内の草木禽獣や茸が画題として描かれ、甲州の博物誌的な趣を醸し出しております。


江戸時代「峡中八珍果」として、甲斐の代表的な8種の果実を総称したもの。ブドウ(葡萄)・ナシ(梨)・モモ(桃)・カキ(柿)・クリ(栗)・リンゴ(林檎)・ザクロ(石榴)・クルミ(胡桃)[クルミ(胡桃)をギンナン(銀杏)に代えることも]の8種の果実で別称「甲斐八珍果」として、人々に知られている。
 

甲斐の国は、山の幸をゆたかにもたらす山国でもある。古来人々は四季の恵みを授かり、育み、共に生きてきた。とりわけ心躍る秋のきのこは、“ほうとう”などの郷土料理に彩りを添えて、今日に及ぶ。松茸をはじめと我が国の代表的なきのこのすべてを、見つけることもできる。
 

野道を行くと、この地の風土の中に育まれた生命は、時に幽けく、時にはねっとりと囁き掛ける。名も知れない草や木の言葉に耳を傾ける時間は、その長さを忘れさせる。そして、しじまの底に密やかに息づくもの。一瞬、影のようによぎるもの。その全てが、甲斐の自然の息吹である。

武田神社 山梨県甲府市古府中町2611 TEL 055-252-2609
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